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このごろ思うこと

 小児科で処方する薬はそれほどバリエーションがあるわけではなく、特殊な病気をのぞいては大学病院でも小さい診療所でも大差ありません。ただこどもの病気は薬が治すものなのかどうかときどき考えを巡らせています。もちろんある種の感染症では絶対に抗生剤を服用しないと治りません。同じ様に咳止めアレルギーの薬などなどたくさんのよい薬が開発されたことの恩恵は枚挙にいとまがありません。これらの効能は重々理解した上でこどもたちの病気のつらさを和らげるのは薬ではない、、というより薬だけではないということを実感しています。例えば症状がよくならない咳に対して「それでは薬をもっと増やしましょう」という方法もひとつあるとは思います。けれどその咳が呼吸が苦しいほどひどいものでなければ単に薬を増やすだけでなく咳がとれるまでには少し待っても大丈夫なのだ説明することも治療の一つでしょう。薬がどうしても飲めないお子さんに「お熱が長引いてつらいね。頑張って飲むとまた元気に幼稚園にいけるよ。」と言葉をかけて処方する薬と、ただの紙にかいた処方薬とは同じものではないのでは、と思うのです。なんだか理屈っぽくなってしまいましたが、医療は単なる技術ではなく心を添えてはじめて完成するものということをあらためて書いてみたかった次第です。インフルエンザの予防接種の時期も重なり大変混雑し御迷惑をおかけいたします。根気強く待ち時間を過ごして下さる患者さん達に本当に感謝しています。ひとりひとり私の出来る限りの技術と知識と心を駆使してより丁寧な診療を目指して参ります。